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昨日、会社の先輩達とバーベキューをした時、「子供の頃って変なもの見たよねー」という話になった。
ある先輩の話では、友達の家からの帰り、三輪車に乗ったなまはげを見たのだそうだ。それも、一回ではなく、友達の家からの帰り、毎回である。その光景を想像し、何ともシュールな気分になった。 僕自身も、不思議な体験をしている。たしか、両親と駅前を歩いていたときのこと。顔が異常に大きい、三頭身ぐらいの中年サラリーマンが、目を真っ赤に充血させて歩いているのを目撃した。まだ、幼稚園ぐらいの頃だったから、僕はその男を指さして「何あの人ー、変」などと口走ってしまい、父親にたしなめられたことがある。 ところが、翌日になって「昨日変な人いたよねー」と父親に話しかけても、彼は何のことだか全く忘れているようだった。母親も同様で、その中年男は僕の記憶の中だけの存在となった。 また、同じ幼稚園ぐらいの頃、夜、家の窓から空を見上げると、緑色に発光する糸くずのようなものが、月のように浮かんでいた。父親もそれに気がつき、「あれはUFOだな」などと言った。僕は興奮してその夜なかなか寝付けなかった。まだ、UFOの意味もよく理解していなかった時代だ……。ところが、翌日の朝になると、やはり父は全てを忘れていた。 僕は夢でも見ていたのだろうか。そうかもしれない。 だが、バーベキューで先輩の話を聞いたとき、僕の体験も孤独ではなかったのだと分かった。多分、子供には不思議なものを見る力があるのだ。そして、大人になるにつれその力を失い、つまらない人間になってゆく。それでも、多分、世の中で詩人と呼ばれる人たちは、ある程度成長してもその能力を残しているのかもしれない。 PR |
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